2011年5月19日木曜日

Ristorante La Madia

先日、働いているレストランのシェフと、同僚と一緒にリカタにあるリストランテ
『La Madia』へ行ってきました。
2011年版のイタリアのミシュランで2ツ星です。

移動はシェフの車で。
現在住んでいるパレルモからAutostrada(高速道路)を使って4時間弱ほどで到着しました。
(途中ちょっと寝てました・・・。すいません・・・。)


お店の外観は一見するとトラットリアと間違ってしまうほど質素。
しかし、このレストランこそがシチリアでもトップレベルのレストランなのです。

店内も至ってシンプル。

La Madiaのシェフ、ピーノが、うちのレストランのシェフと友達ということで、今回はおまかせで・・・。


ウイキョウのスープとイカのニョッキ
最初の料理は、イカのニョッキを添えた、ウイキョウのスープ。
アーティチョークのチップスと、ニョッキの上にはイカスミのパウダーが添えてあります。
スープはイタリア料理ではプリモピアットに分類され、パスタと同じ扱いです。
本来だったら、前菜の後に出る料理な訳ですが、ピーノ曰く
「コースを始めるにあたり、スープを飲んで一旦リラックスしてもらうため」

お腹の空いた所に、優しい食感のニョッキと優しい味のスープ、イカスミパウダーのほのかなアクセント。
いやが上にも次の料理への期待が高まります。


イワシのゼリー寄せ トマトの種と玉ねぎ ボッタルガのマヨネーズ

最初の前菜です。
ゼリーは海のゼリーと言っていました。
イワシをほのかに魚介の香る(和食の出しのような)ゼリーで寄せ、トマトの種、玉ねぎ
そして回りをまぐろのボッタルガ(カラスミ) のマヨネーズで囲ってあります。
見た目の通り、爽やかでいて和食に通じる旨味を感じました。


水牛のモッツァレッラのムース
二番目の前菜はモッツァレッラ・ブファッラ(水牛のモッツァレッラ)のムースを牛乳の膜で包んだもの。
ムースと言うよりも、泡に近い軽い口当たりでした。
その下にはパンツァネッラと呼ばれるトマトとパンのサラダ、バジルのピューレが潜んでいます。
全てを一緒にして食べるとカプレーゼ(トマト、モッツァレッラ、バジルのサラダ)の味になると言う狙いだそうです。
とにかく、ムースの軽い口当たりに驚きました。
しかし味わいはあくまで正統派。


海をイメージした料理
続いて第三の前菜。
一見するとポーチドエッグのように見える白いものは、海水をエスプーマ(泡)にしたもの。
その下には、ズッキーニ、あさり、ウニ、イカ、アーモンドの砕いたものと、アーモンドミルク。
ピーノ曰く
「海に飛び込んだとき、口の中に海水が入り込んで来るのをイメージした」とのこと。
あさりや、ウニ、イカはもちろん海の幸、ズッキーニは海藻、アーモンドは海底をイメージしたそうです。
食べてみれば確かに口の中に磯の香りが広がりました。
ズッキーニやアーモンドの食感がちょうど良いアクセントにも。


ククッツァを詰めたイカのラビオリ アンチョビのソース
第一のパスタ。
個人的に一番好きだった料理です。
ククッツァのピューレをイカで出来た生地でラビオリにしたもの。ソースはアンチョビのソース。
ククッツァとはズッキーナ・ルンガともよばれる長いズッキーニのこと。
色も普通のズッキーニとは異なり、白っぽい、灰色がかった色をしています。
また、葉っぱもテネルミと呼ばれ、食べられます。
ラビオリもさることながら、このソースがめちゃうまでした。
アンチョビのソースではありますが、アンチョビは仄かに香る程度。
どちらかと言うと、甲殻類のクリームのような凝縮した味でした。
作り方は、ここで働いていた友人に教えてもらいましたが、口止めされているので(笑)。
上には海老とパルメザンチーズを焼いたもの。




タコのロースト パセリとパプリカのピューレ
第二のパスタの前に魚。
タコをローストしたものに、パセリのピューレ、パプリカのピューレを合わせたもの。
回りに、パン粉を炒ったものをちらして。
シンプルにおいしい料理でした。
パセリ、パプリカのピューレとタコの味のバランスもなかなか。
一緒に行った人はこれが一番美味しかったと言ってました。
ちなみにピーノは「なんで?」とちょっと不服そうでしたが・・・。




スカンピ海老のスパゲッティ
第二のパスタ。
スカンピ海老(手長海老)のソースに手打ちのスパゲッティを合わせた料理。
ピューレはトピナンブール(キクイモ)とメニューには書いてありましたが、
「トピナンブールのようなものだ 」と言っていたので、不明です・・・。
海老の濃厚な出汁とちょっとクセのあるピューレ、ソテーした海老の甘味。
美味しくないわけがありません。


卵のパン粉焼きとアスパラガス アーティチョーク添え


「メインに行く前に」と出されたのがこの料理。
茹でたアスパラに、パン粉焼きにした半熟卵、ソテーしたアーティチョーク、パセリのペーストが添えてあります。
シンプルで、目新しい組み合わせではありませんが
アスパラの甘味、パセリの苦み、卵のまったりとした味、パン粉の香ばしさや食感・・・
定番の組み合わせには、定番たる裏付けがあるんですね。




ファルソマーグロのラビオリ
「肉料理の前に」と言って出されたアスパラの次に出たのがこの料理。
ラビオリなのでパスタではあるんですが、肉料理と考えていいのでしょうか?
(そこは未確認ですが・・・)
ファルソマーグロとは、牛(子牛)肉の薄切りに、ミンチやパン粉、チーズ、ハムなどを詰めて
煮込んだシチリア料理。
これをピーノ流にパスタ料理に仕上げたものだそうです。
ただし、ラビオリの詰め物には肉は使っていないそうで・・・。
下に敷いてあるのは牛乳の乳脂肪分のソース、モルタデッラ(ハムの一種)をゼリーで寄せたもの、サマートリュフがあしらってあります。
詰め物は確認できませんでしたが、おそらくチーズの味がしました。
美味しいのですが、ただこれがファルソマーグロか、と言われると
ちょっと・・・て感じではありましたが。


鳩のロースト レバーのペーストと玉ねぎのフリット添え
メイン料理は鳩肉でした。
シチリア料理で、鳩肉とレバーを一緒に煮込んだ料理があるらしいのですが
それをレストラン風に仕立てたのがこの料理だそうです。
フレンチでも、鳩肉とレバーペーストは定番の組み合わせではありますが。
鳩胸肉はローストした後、表面をキャラメリゼして、甘味と食感をプラスしてありました。
ソースはちょっと甘味の利いたソース(マルサラっぽい味が・・・)。
安心できる美味しさです。


プレデセール。レモンのグラニータとブリオッシュ
デザート前のプレデセールとして。
シチリアではジェラートやグラニータ(イタリア版かき氷のようなもの)を、ブリオッシュと一緒に食べたりします。
さっぱりとした味ですが、ブリオッシュがなかなか食べ応えがあって・・・。


カンノーリとマルサラ酒のジェラート マルメラータのソース
メインデザートはカンノーリ。
シチリアのお菓子と言えばカンノーリです。
生地を筒状にして油で揚げ、中にリコッタチーズのクリームを詰めたものです。
一般的にお菓子屋さんなどで売られているのは、クリームに砂糖漬けのフルーツなどを混ぜた
かなーり甘いお菓子なんですが、レストランのデザートと言うことで甘味は控えで、
詰め物もクリームだけで、ナッツとオレンジピールを上から散らしただけです。
ジェラートは、シチリアのお酒である、マルサラ酒を効かせたものです。
ソースとして、オレンジのマルメラータ(マーマレード)をピューレ状にしたもの。
中のクリームはリコッタチーズに砂糖を混ぜただけなんですが、驚くほどにクリーミーで美味しかったです。
日本で食べるような、もそもそ感も味気なさもなく・・・。
素材の差、鮮度の差を感じました。


今回は知り合いと言うことで、大分サービスやメニューには載ってないような料理を出してもらいましたが・・・。
今、イタリアでもかなり勢いのあるレストランだと言うのは十分に理解できる、大満足の食事でした。
外観、店内の造りなどは質素ではありますが、料理を食べてみて2ツ星という評価も納得でした。
最近は、イタリアでも独創的な料理がもてはやされてたりするのですが、
アイデアだけに走らずに、ちゃんと味の構成も考えられていて、
驚きがありつつも安心できる美味しさ、そのバランスがうまいなあと感じました。

いろいろ考えさせられる、有意義な食事だったと思います。
またシチリアにいるうちに行きたいです。


Ristorante La Madia
http://www.ristorantelamadia.it/

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